Wiz#5リプレイ:A Nightmare...

華やかなマンフレッティのフロアを抜け,地下6階へ降り立つと…そこは一転,見渡す限り,凍てついた氷の世界。
慎重に探索を進め,ついに氷の王,The Robuna Ice Kingを倒した彼らは,地下7階へと足を延ばしていた。
確実に“災禍の中心”へと近づいている,その手応えを感じつつ…
 
◆◆◆
 
「こ…ここは,何処なんだ!?」
…彼らは,珍しく動揺していた。
先ほど飛び込んだ小部屋に,縦穴が仕掛けられていたのだ。
「そ,そんなはずが…」Dumapicの呪文を試した魔術師の“黒き薔薇”が,驚きの声を上げる。
「地下…777階!?」
「防護の魔法の効果も消えている…それに,ここが“災禍の中心”というわけでもなさそうね」
司教にもすっかり馴染んできた“黒き百合”…どうやら姉妹らしき彼女達は,自らをそう名乗るほか,一切の素性を明かそうとはしなかった。
「何か危険な匂いがする…闇雲に先を急がず,まずは戻る方法を探そう」
ロードのルーファスの言葉に,パーティーは静かに頷いた…
 
「待って!」「…何かが,この近くにいる!」
エルフのキルエリッヒは,その凄まじい妖力を,はっきりと感じ取っていた。
突然…「それ」は実体化した!
「フフ…驚いているようだな」
「魔界の入口へようこそ。我が名は…Nether Demon」
「そなたらの力…我に見せてみよ!!」
 
「ほう,最後まで諦めぬか…その勇ましさ,見上げたものよ」
既に,ルーファスとキルエリッヒ,そして“黒き薔薇”の3人が…息絶えていた。
「か,彼女だけは…何としても!」
瀕死のGoddさまは…それでも立ち上がり,Nether Demonに突き進んだ。
「何とか,急所を捉えさえすれば…!」
その渾身の一撃にも…Nether Demonは身じろぎひとつしない。
「愚かな…その程度で,私の首が取れるものか!」
そして再び,深く息を吸い込んだ…
「真の恐怖を味わうがよい!…その肉体と精神,我に捧げよ!!」
 
その瞳に映るは,深紅…そして漆黒。
その耳に聞くは,魔神の咆哮…そして,女の悲鳴。
「うわあああっ!…やめろおおおおっ!!」
 
◆◆◆
 
気がつくと…そこは,馬小屋だった。
汗で,寝藁がびっしりと皮膚に張り付いている。
側では,“黒き百合”と,パーティーの仲間達が…まだ寝息を立てていた。
「ゆ,夢か…」
空が,わずかに白み始めていた…