ニッポンの「うた」

また1日遅れで(月曜日に)書いてます…
 
ETV「思い出の名演奏」を見る。
前半は,1956年にイギリスの作曲家ブリテンと,盟友のテノール歌手ピアーズが来日した時のリサイタル。当時,NHKのTVとラジオでもオンエアされたらしい。マイクが1本しか見当たらなかったけど,音質は極めて良好。ピアノはSteinway。録音の関係もあるとは思うけど,やっぱりこの頃の楽器の音色の方が自分は好き。柔らかくて,独特のコクというか味がある。ピアーズも,本当に正統派といった感じの歌い方。
生放送で,ナレーションのタイミングを計って曲を始める様子が窺えたり,映像のスーパーが手書きだったりと,色んな意味で,古き良き時代を思わせるリサイタルだった。
 
もっと興味深かったのは後半。エルンスト・ヘブリガー(テノール)の1992年の来日公演で,日本の歌曲をドイツ語で歌うというもの。曲目を挙げると「この道」「待ちぼうけ」「ちんちん千鳥」「おぼろ月夜」「ふるさと」「雪のふるまちを」「花」「荒城の月」…これが本当に面白かった! 録画してなかったのが悔やまれる。当時73歳(現在は既に引退)の名手が残した,貴重な音源を楽しませてもらいました。
 
優れたメロディーは,言葉の壁や国境など,いとも簡単に飛び越えてしまう。外国の民謡などでも,日本語に訳され,すっかりお馴染みになっているものも少なくない。
余談だけど,昔ドヴォルザークの「新世界から」(交響曲第9番)第2楽章に出てくる,あの超有名なメロディー。実は子供の頃,あれをずっと日本の曲だと思い込んでいた。当時通っていた音楽教室は公民館にあって,夕方5時になると,外のスピーカーからあのメロディーが夕焼けの空にこだまして…子供ながらにとても郷愁をそそられるというか,胸がキュンとしたものだった。
 
ってことで,みなさんにも,キュンとなってもらいましょう…