祭りのあとで…

ダービーのダンツキッチョウは,どうもレース中に故障していたらしい…詳細はまだ分からないけど,とにかく軽傷であってほしいと願うばかりだ。
この馬はデビューから3戦,夏の札幌で走っていた。札幌の芝は日本のコースの中でもクッション性が高く,馬にとっては走りやすいと言われている。それに対して,今の東京をはじめとする中央開催は,条件馬がレコードを出してしまうほどの異常ともいえる超高速馬場。
半年の休養を挟んで,皐月賞もパスしてダービー1本に目標を定めてきた馬だっただけに…晴れの舞台でこんなことになってしまうとは,関係者にとってもやりきれない気持ちで一杯だろう。
 
今に始まったことではないが…日本の馬場は硬い,とよく言われる。連続開催に耐えるためには,ある程度の硬さも必要なのは事実だろうが…もう少し何とかならないか。芝のレース数を減らすとか,あるいは海外のようにスクラッチ(馬場状態を理由に出走を取り消す)を認めるとか。とりわけ,まだ体の出来上がってない若駒に,硬くスピードの出る馬場を走らせるのはリスクが大きいはず。もっとも,一度きりのダービーで,スクラッチというのもなかなか出来ない決断だとは思うけど…
 
軽くて速い芝,深くて重いダート…というのが日本の競馬のイメージだけど,実は世界的には全く正反対。日本のダート馬が,ドバイワールドカップなどで全くスピードについていけず惨敗するのを見ても,それは一目瞭然だ。
JRAが「世界に通用する強い馬づくり」を掲げて約20年。気候的な問題もあって,欧州のような芝コースや,アメリカのようなダートコースを造るのが難しいのは理解できるけど…この日本の馬場の特殊性という問題も,引き続き考えていかなければいけないのでは,という気がしている。
 
今週は,マイルの国際G1安田記念。初めてこのレースを見たのが11年前。降りしきる雨のなか,あのノースフライトが勝った年である。個人的にも,結構思い入れのあるG1のひとつだ。
今年は久々に,超目玉の外国馬がやってきた。香港が誇るスーパースター,18戦17勝の快速スプリンターSilent Witness。前走で初めて土がついたとはいえ,初のマイル挑戦でゴール寸前に差されての2着。今の東京の馬場なら,その圧倒的なスピードで押し切ってしまうかも…
迎え撃つ日本馬も多士済々。総大将のデュランダルこそいないものの,目移りするような好メンバーが揃った。果たして,サイレントのスピードについていけるのか。いや逆に,有力馬がサイレントを意識して早めに動けば,今度は差し,追い込み馬の台頭があるかもしれない。
 
「競馬はマイル戦が一番面白い」とは,日本競馬の父と言われ,このレース名の由来にもなっている,JRA初代理事長,安田伊左衛門氏の言葉である(と聞いたような…)
ディープインパクトの強さに感動した“先週だけ競馬ファン”の人も,「さ,次は有馬だ」なんて言わずに(笑)今週もご覧になってみてはいかが?…なぁんて,ね。