伝統とテクノロジーのあいだ…

最近,ピアノを含めて,色々と楽器に関する調べものをしているのだけど…そこで度々出くわすのが,いわゆるアコースティック楽器に対する賛美と,デジタル楽器の功罪,あるいはその是非論だったりする。
元々が電子楽器育ちなので,「そんなモノは楽器じゃない」みたいに言われるのは,自分の音楽歴そのものを否定されてる気がして,何だかムカつくし…かといって逆に「もはや楽器演奏のスキルなど必要ない。これからの名曲は,PCの中から生まれる」みたいな意見にも,やっぱり少なからず違和感を覚える。
この時代,両方を自在に行き来してこそ,またそれを受け入れてこそ,21世紀を生きる真のミュージシャンであり,音楽ファンだと思うのだが…
 
以前,アメリカのバークリー音楽院で,新入生にPowerBook(当時)と,ソフトウェア「Reason」の購入が義務づけられるようになったという記事を読んで,遂にここまで…と思ったものだけど,これからの音楽の担い手には,そういう新たなスキルも求められている,ということなのだろう。
もし,ベートーヴェンが現代に生きていたら…彼はクラシカルなオーケストラの楽器編成に,あくまでこだわり続けただろうか。自分はそうは思わない。何せピアノ曲でも,当時の楽器の音域を越える音まで書いちゃってるような人なのだから。
一方で,もし現代の「ラップトップミュージシャン」が,身ひとつで19世紀以前に連れて行かれたとしたら…彼は果たして,未来の音楽を,人々に紹介できるのだろうか。
楽譜が読めなくても,楽器が弾けなくても,音楽はできる。それを可能にしたのが,20世紀末からのテクノロジー。でもそれに「おんぶにだっこ」というのも,ちょっとどうだろう。
この先もしかしたら,世界大停電とかやって来るかもしれないわけで(笑)そうなった時に,何もできない「ミュージシャン」ってのも,何だかカッコ悪いような…
音楽の歴史もまた,尊重されてしかるべきなのだ。
 
今やリズムなんかでも,それが実際のドラムでプレイ可能かなんて,ほとんどの人にとってはどうでもよくなっている。ピアノにしても,最新の高品位なソフトウェア音源は,もう一聴したくらいでは本物と区別がつかないほどの(あるいは本物以上の!?)クオリティになってきている。
それでも,もし夢が叶うのなら,MacMIDIキーボードと,ローランドのパッドで済ませるんじゃなくて…やっぱり,本物のドラムセットと,グランドピアノを置いておきたいと思う。むしろ,知れば知るほど,本物への思いは,ますます強くなっていく。
んー,何か全然まとまらんけど…まとめたからどうなるもんでもないか(笑)
 
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→ところでこのピアノ,インペリアルじゃなくて,model 280のような…!?
(どっちにせよ“sounds nice”なのには変わりないですが…)