メジャーとマイナー

このところ,ブログも鍵盤もサボり気味…
気がかりなことがあると,それに一応でも区切りをつけないと,他のことが手に付かなくなってしまう。学生時代の試験なんかでも,時間配分はホントにヘタクソだった。わからない問題があると,意地になってそこでフリーズ。まるで昔のMacWindowsみたいな(笑)
世はマルチタスクの時代に,もうちょっと“モダンな”脳ミソが欲しいものですが…CPU交換,ってわけにもいかないしなぁ。この性格も困ったもんだ…
 
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最近,NHKの「ぴあのピア」という番組を録画で見ている。毎日10分,ピアノの名曲を1曲ずつ紹介していくというもので,まぁカットやフェードアウトが多いのは仕方ないけれども,曲の背景やピアノの歴史などにも触れることができて,なかなか面白い。
ここしばらく,モーツァルトの作品が取り上げられてるのだけど,その中で…ハ短調ソナタ(K.457)に関しての言及が興味深かった。
 
知られているように,モーツァルトの作品は,長調で書かれたものが圧倒的に多く,短調の作品は少ない。加えて,当時のウィーンの聴衆は,短調の曲をあまり好まなかったという。モーツァルト自身も結婚直後で,作曲家/ピアニストとして大活躍中,公私共に幸せかつ充実の日々を送っていた。
その中で…なぜ短調の曲を!?
さだまさしがユニークな意見を述べていた。「彼にはロックの魂があったんじゃないかな」
サロンでの演奏会は貴族たちの社交の場でもあった。お気楽な長調の曲をBGMに,おしゃべりを楽しむ方が,彼らには都合が良かったんだろう。それに対する,彼の反骨精神の表れなのではないか…と。
それはモーツァルトというより,むしろベートーヴェン的な感じもするけれども…もしかしたら逆に,モーツァルトが,ベートーヴェンにそういう影響を与えたのかもしれない。実際,モーツァルトが残した数少ない短調の作品には,非常に厳格な,何かこう近寄り難いような凄みを放つものがある。ピアノ協奏曲ニ短調(K.466)や,最後の作品となったレクイエム(K.626)など,その最たるものだ。
 
最も敬愛するミュージシャンは?…と聞かれたら,自分は迷わずStevie Wonderと答える。
彼の曲もまた,モーツァルト同様に長調の比率が高い。
その一方で…例えば「Journey Through The Secret Life of Plants」で見せた,音楽家としての本気。おどろおどろしいテーマが延々と繰り返される冒頭から,作品全体を貫くC#mのモチーフ。このC#mというのは,数多の名曲が残されてきた調性でもある。
このアルバムは成功しなかった。“Send One Your Love”は知ってても,このアルバムは知らない人も多いと思う。けれども自分は,彼の最高傑作に挙げたいほど大好きな作品なのだ。
Journey Through the Secret Life of Plants

Journey Through the Secret Life of Plants

(日本盤もありますが…ジャケット画像が表示できなかったのでこちらで)
 
長調は「誰かのために」書く曲。
そして短調は…「自分のために」書く曲。
というのは,ちょっと短絡的だけど…そういう一面もあるんじゃないか。
番組を見ていて,そんなことを思ったりしたのでありました…