チューニング。

今日のBS「クラシック倶楽部」は,アルス・アンティクァ・オーストリアという,古楽器のアンサンブル。
バイオリンにリュートヴィオローネ(6弦のフレットつきで,大きさはチェロくらい)とオルガン/チェンバロ(1人で兼任)という4人編成。曲も17世紀くらいの,あまり有名ではない作曲家の作品が中心で,古楽器アンサンブルといっても,むしろ逆に新鮮なくらいだった。
最後の曲は,ビーバー作曲『バイオリンと通奏低音のためのソナタ ヘ長調
ビーバーって誰?…ん,待てよ。「ヘ長調」(F major)!?
どう聴いても,Eにしか聴こえない。いや,自分の耳がおかしいんじゃないぞ(笑)…ようやく,最後の曲になって気づいた。チューニングが,実に半音ほども低かったのである。
 
バロック音楽の時代,楽器のチューニングは,今のピッチよりもずっと低かった…という話は聞いたことがある。もし現代の楽器でこれをやったら,相当マヌケな音になると思う。絶対音感のある人だったら,発狂しちゃうかも(笑)
逆に,そういう古楽器を,現代のピッチに合わせることも不可能だ。弦の張力などに耐えられず,楽器が壊れてしまうからである。
 
A=440Hzというチューニングのピッチは,かなり最近(20世紀)になって決められたものであり,それまでの音楽は,もっと低いピッチで演奏されていた。今日聴いた古楽器アンサンブルの,柔らかく落ち着いた響きは,どこか懐かしさのようなものも感じさせた。
現代では,A=442Hzや445Hzといったハイチューニングも,外国のオーケストラなどではよく使われるようになっている。理由は色々あるだろうけど,もしかするとその1つには,環境汚染などの影響で,良質の木材が確保できなくなり,楽器そのものの質が低下していることもあるのだろうか…などと,余計なこと(?)まで考えてしまった。
楽器が鳴らなくなってきてるのを,ピッチを上げてごまかそうとしている…!?
 
個人的にも,ハイチューニングはどこかヒステリックな感じもして,あまり好きじゃない。楽器に負担もかけるし,狂いやすい。
一方,ロックギターなんかでは,逆にダウンチューニングが流行ってるけど…これは結構好きだったり(笑)
そして,現代音楽や,学術的に音楽を研究している人達の間では,今でも「いかにチューニングすべきか」という議論や試行錯誤が行われている。
基本中の基本でありながら,改めて,チューニングとは奥が深いのですね…