『Dream Theater』Dream Theater

ドリーム・シアター

ドリーム・シアター

思いのほか、早いタイミングで「2ndアルバム」(あえてこう書く)が出てきたことにまずは驚く。
そうだ。いまの彼等には、創作意欲がみなぎっている。
5年も休む意味など、何処にもなかったのだ…

…という、ちょっとイジワルな(?)前置きはともかく。

前作にも増して更に躍動する演奏陣に対し、聴き始めは「ヴォーカル、歌メロがちょっと弱いのでは?」と思ったのだけれど…それは実は前作でも同じだった。結局、聴き込むにつれて、その印象は(良い方向に)変わっていくことになるのだが。
その前作では封印していた(?)ハイトーンシャウトも時折飛び出すあたり、ラブリエの「気合乗り」も感じられる。

以前の、ともすると無駄に楽曲を「引き伸ばした」ような冗長さはなくなり、20分超のファンタジックなラストナンバーですら、その実時間を感じさせない作りと聴かせ方の妙を得ている。
なるほど確かに、そういう意味では、RUSHの進化、洗練の方向性にも通じる部分はあるかも。

あまりに密度、内容が濃すぎて…とてもじゃないが、二、三度聴いた程度でのみこめるようなシロモノではない。といってもちろん、第一印象が良くないワケじゃないのだが…
とかく、ライトなモノに、単純なわかりやすさに流れていきがちなこの時代。
これからの季節、たまにはこういう音楽にも、じっくりと向き合ってみるのもイイのでは?

マイク・ポートノイと彼等は「袂を分かった」のではない、と思っている。
互いに、もう一歩「前に進む」ために…違う道を選択しなければならない時期に来ていたのだ、と。
個人的に言わせてもらうなら、DT時代のポートノイの、あまりに隙のない息がつまりそうなドラミングも、自己顕示欲のカタマリのようなあのセッティングも…正直好きではなかった。
まるで、DTという自ら作り出した巨大な魔物に、取り憑かれてしまったかのような…
ここいらで、彼もまた、ひとりの人間に、いちミュージシャン、ドラマーに…戻る必要があったのだ、と。

Now and then.
まさか、ここまで取っておいたワケじゃないだろうけれども…自らのバンド名をアルバムタイトルに付すには、これ以上ない絶好のタイミングだったのではないだろうか?