ディープ騒動に思ふ…

ディープの薬物検出問題,Webやスポーツ紙のみならず,一般紙やTVまでもが大々的に伝えるほどで,改めてこのスーパーアイドルホースに対する注目度の高さをうかがわせるが…どうやら,事の真相らしきモノが見えてきたようだ。
 
フランスでディープは,呼吸器系の不調に見舞われ,現地の獣医がこの薬を処方した。これには禁止薬物のイプラトロピウムが含まれるので,レースの5日〜1週間前には投薬を停止すること,という指示があったのだが…どういう手違いか,これが守られなかった。
言葉の問題なのか,それともコミュニケーションの不足が原因なのか…いずれにしても,やはり結局は“人為的なミス”ということになりそうだ。
 
今回の一件によって,はからずも,ディープが体調面で問題を抱えていたという事実(?)が浮き彫りになった。凱旋門賞のレースを思い返すと,あれほど手応え十分に見えたのに,最後弾けなかったのは,それが原因だったのだろうか。そして,あの昨年の有馬記念の敗戦も…!?
 
でも,まぁそれはいい。ディープも,やはり血の通った1頭の馬だったということ。人もウマも,生きていれば病気もするし,色んなことがある。元々ディープの血統は,兄弟がみんな脚部不安を抱えているように,もしかすると,何か遺伝的なものもあるのかもしれない。
仮にそうだとしても,それで種牡馬失格の烙印を押されることにはならない。マリー病と戦いながらも,活躍馬を輩出したダンシングブレーヴのような例もあるのだから。
 
ディープインパクトが,日本のサラブレッド史上最高傑作ともいえる名馬であることに,何の疑いの余地もない。だけど,それを世界の舞台で証明できなかったことだけは,本当に悔やまれる。
また昔話を…と思われそうだけど,こうなってみると,改めてあの,エルコンドルパサーの残したものとは,何と偉大だったのだろう。半年間の長期遠征プランを敢行し,本気で凱旋門賞を獲りに行った。途中,体調を崩した時期もあったそうだが…レースではきっちり答えを出した。人馬共に,まさしくプロフェッショナルだった。しかし,それでも勝てなかった…
 
天皇賞に出るのもいい。ハーツクライも出てくるJCや有馬記念なら,なおさら負ける訳にはいかないだろう。でも,だけど…
ディープにとっての凱旋門賞とは,一体何だったのか!?
どこか,そんな虚しい気持ちも沸いてくる…