本日のお買い上げ

「リスト:巡礼の年」ホルヘ・ボレット(ピアノ)★★★★
リスト:巡礼の年
 
ピアノの「音色」を求めてCDを買ったのは,これが初めてかも。
少し前にも書いた*1,ベヒシュタインのピアノを使って録音されたもので,2枚組でたっぷり,ベヒシュタイン・トーンに浸れるという,願ったり叶ったりの作品である。
クラシックおたくのウチの親父が,何か1つくらい持ってないかと思ったんだけど,結局目当てのモノは見つからず。どうも,作曲家とか演奏家とか指揮者とかで,選り好みが激しいっぽい…
 
期待に胸を躍らせつつ,早速聴いてみる。1曲目を聴いたところでは,正直に言うと,ちょっと古くさい音だなぁという印象しか受けなかったが…聴き進むにつれ,徐々に引き込まれていく。とりわけ中高音域の,この何ともいえない色彩感と,芯の通った美しい響きは,まさに唯一無二といえるもの。1度聴いたら,忘れられなくなるほどの魔力を感じる。
この独特の音色を自在に操り,リストの旅したスイス,そしてイタリアの情景を繊細なタッチで描き出す巨匠ボレットの演奏も見事。楽器の持つ個性が,作品と結びついて昇華した名盤といえるのではないだろうか。
 
かつてはスタインウェイをしのぐ人気を誇っていたというベヒシュタインも,今ではそのスタインウェイに,そして日本のヤマハやカワイにも押され,その音を生で聴く機会は滅多にないと思うけど…例えば,自宅などのプライベートな空間で弾くピアノという意味では,むしろこういう音こそ相応しいのでは,とも思えるものだ。
ヘタにグランドピアノなんか買って,ボリュームもスペースも持て余すより,ベヒシュタインのアップライトの方が,ずっと心地よいピアノライフを送れるかも。
ま,何にしても,“究極のぜいたく”であることには,変わりないんですけどね…

*1:id:powergodd:20060426